研究開発

考え方・方針

ナブテスコグループの研究開発に関する基本的な考え方

ナブテスコは、「モーションコントロール」をキーワードに、コンポーネント技術とシステム技術を統合し、高精度な制御装置、駆動装置等の開発に取り組んでいます。先端企業である顧客との信頼関係をベースに、高度な顧客ニーズを感知し既存技術を深耕しながら、コンポーネント販売からソリューション提供事業への転換を図っており、電動化・システム化製品など新商品・新事業の創出を追求しています。

研究開発費・売上高研究開発費比率の推移

研究開発費・売上高研究開発費比率の推移

体制

研究開発体制

ナブテスコは研究開発を、テーマごとに2つのステージに分けて実行しています。一つ目は将来技術獲得のための「要素研究ステージ」、二つ目は実際の「事業化ステージ」となります。 さらに、テーマごとの開発進捗のステージを細分化し、部門を超えた有識者による各テーマ内容の詳細や事業性を評価することにより、素早く事業化できる体制を作っております。

研究開発に関する基本的な考え方を実現するため、社内での研究開発だけにとどまらず、オープンイノベーションを取り入れています。 ナブテスコでは、さまざまなアクションを展開しており、従来の国内の大学との連携に加え、海外大学・研究機関との共同研究やコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)によるスタートアップとの共創、M&Aを積極的に推進しています。また、大学・研究機関が集積する京都リサーチパークに所在する「ナブテスコR&Dセンター」を通じて、各種専門分野の見地から10年後を見据えた要素開発や、新技術の先行導入を図るべく、自社開発のみならず、企業・大学との「社外連携」「大学連携」をオープンイノベーション方式の活用により促進しています。これらの取り組みを通じて、多様な技術の採り込みと開発スピードの向上、グローバルな技術人財の育成を図り、新商品・新事業の創出を推進していきます。

新商品・サービス創出に向けた取り組み

新商品・サービス創出に向けた取り組み

R&D activities toward Innovation

取り組み

イノベーションの創出

イノベーション創出に向けた総合的な取り組みを推進

ナブテスコは、モノを確実に動かし止めるという「モーションコントロール技術」を軸に、お客さまの製品開発プロセスに各事業部門が寄り添いながら技術やノウハウを蓄積しながら成長を重ねてまいりました。

一方、近年では、お客さまのニーズの多様化や高度化に伴い、強みを有するコンポーネント単体での製品・サービス提供に加えて、電動化・システム化された製品の開発や提案が成長機会としてさらに重要度を増しています。また、従来のモノを「うごかす、とめる」機能に加えて電子化、IoT化、AIの進展に対応し、予防保全を含めた製品・サービスのあり方が求められるようにもなっています。

ナブテスコは、こうしたニーズにお応えし、お客さまへの価値提供領域を広げるために、技術本部を中心にグループ一体となってこれらのテーマへの対応を加速し、イノベーション創出に向けた総合的な取り組みを推進しています。また、ナブテスコでは、2030年に向けた長期ビジョンを「未来の”欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」と設定し、新たな価値の創造に向けた活動を全社で推進しています。お客様の顕在化している課題を解決するだけでなく、今はまだ世の中にも、お客様にも見えていない課題を捉え、自ら新しいスタンダードを生み出し世界に示していきます。

主要な研究開発分野

OVALO GmbHの活用 (電動化、システム化の加速へ)

当社は、2017年3月にドイツのOVALO GmbHを買収しました。同社が保有するモーター、コントロールユニット一体製品の開発能力を活用し、多様化、高度化するお客さまのニーズに対応していくために不可欠な、当社製品全体の電動化、システム化を加速しています。

また、同じく当社の連結対象となった傘下のadcos GmbHについても、メカトロニクス製品開発の根幹となる「モデルベース開発」の技術を有しており、開発効率や品質向上を飛躍的に高めるノウハウとして有効活用します。

当社としては、OVALO社やadcos社が保有する先端技術を、事業の枠に捉われず活用することで、グループ内のシナジー効果を最大限に発揮し、新たなビジネスへと繋げていきます。

コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)の活用

当社は、既存事業の深化のために必要な技術探索や、長期的な成長を見据えた新商品の開発や新事業の創出に必要な技術・製品領域の探索を行うためにコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を活用しています。

写真

スイスに拠点を構えているNabtesco Technology Ventures AG は、Emerald Technology Ventures との間でCVC業務に関する戦略的なパートナーシップを構築しており、その知見を活かした共創先の探索を行っています。

この取り組みをさらに強化、加速させる役割を担うのが、CVC推進部です。当社グループが保有する技術・知的財産をもとに、戦略的に共創先を探索するとともに、CVC出資後のプロジェクトマネジメントに関しても一翼を担い、新規事業創出の早期実現を目指しています。

CVCの組織体制

CVCの組織体制

CVC活用プロセス

CVC活用プロセス
出資する事業領域について

NTVは、以下の技術を備えるスタートアップと共同開発等の共創を進め、継続的に投資します。

  • モーションコントロール、およびその周辺技術(含AI、IoT)、或いは“破壊的イノベーション”に関連する領域
    例)ロボティクス、ブレーキ、建機、医療/福祉機器、3Dプリンター、モーター、センサー等
  • 生産技術に関連する領域
    例)加工・表面処理技術、モデルベース開発等
出資事例について

R.K. Deep Sea Technologies Ltd.(以下「Deep Sea社」)に出資

AIによる船舶最適航路選定および状態監視ソリューションを開発した同社への出資を契機に共同研究を進めてまいりましたが、2023年7月に株式 100%取得し、連結子会社化しました。Deep Sea 社の持つ世界最先端のAI技術と、当社の舶用エンジン遠隔制御システムを組み合わせることで、未来の船舶運航のデジタルトランスフォーメーション (DX)を強力に進め、海運業界における自律航行と二酸化炭素排出量削減、環境負荷の低減に向けた開発を推進しています。

スペースワン株式会社(以下「スペースワン社」)に出資

小型ロケットによる人工衛星打上げ事業に取り組むスペースワン社との資本業務提携を通じ、当社の航空機器事業における国内外での豊富な経験や技術力を活用することで、新たに宇宙産業製品の開発・提供を実施していきます。将来的にはスペースワンはじめ宇宙産業事業者への製品供給体制を目指すサプライチェーンの構築を目指し、宇宙産業の持続的な発展に寄与してまいります。