強靭なサプライチェーンの構築

考え方

サプライチェーンにおけるサステナビリティへの基本的姿勢

当社グループは、約1,600社の多様な規模のサプライヤーより、主に金属部品、電子電装部品等の購入、機械加工、組立加工の委託等の取引を行っています。サプライヤーとの取引は、当社グループのコスト構造やQCDパフォーマンスに影響を与える重要なファクターです。中長期的な成長の実現には、持続的なサプライチェーンの確保が不可欠であり、適正なコスト構造に基づく公正な取引を通じて、サプライヤーとの緊密な連携を通じた協働体制を構築しています。

さらに私たちは、昨今のサプライチェーンにおける社会的・環境的影響に関する社会的要請と期待を真摯に受け止め、公正な取引を通じたサプライヤーとの相互信頼関係を基礎にサプライチェーン全体で社会的責任を果たしていきたいと考えています。

重要サプライヤーの特定

当社グループでは、事業継続の上で重要なサプライヤーを「主要サプライヤー」として特定しています。2023度は1次サプライヤーにおける主要サプライヤー数が100社:調達金額約70%(2022年度100社:約70%)となりました。更新は年に一度行っており、2023年度からは、従来の取引量やQCDパフォーマンスなどに加え、ESGパフォーマンス、カントリーリスクおよび機械セクターに属する企業として固有のリスクも考慮し選定しております。

  2021年度 2022年度 2023年度
主要サプライヤー数(社) 100 100 100
調達金額比率(約) 70% 70% 70%

主要サプライヤーの選定基準

  • 取引量
  • QCD(品質・コスト・納期遵守)パフォーマンス
  • 技術開発力
  • 財務健全性
  • ESGパフォーマンス※1(2023年度より追加)
  • カントリーリスク※2(2023年度より追加)
  • 機械セクター固有のリスク※3(2023年度より追加)
  • 1 ESGパフォーマンスについては、SAQ(Self Assessment Questionnaire 自己チェックシート)などの各種アセスメントや監査結果に基づき、GHG(温室効果ガス)排出量目標の設定有無や、人権および環境デュー・デリジェンスに関連する設問のスコアが良い企業を優先的に主要サプライヤーとして選定しています。
  • 2 カントリーリスクとは、特定の国・地域における政治・経済・社会情勢の変化などのリスクを指します。
  • 3 当社は機械セクターに属しており、調達品目および品目ごとの調達金額とカントリーリスクを紐づけ、セクター固有のリスクを特定しています。

当社グループの調達品目別割合(国内)(単位:%)

  2018年
(実績)
2019年
(実績)
2020年
(実績)
2021年
(実績)
2022年
(実績)
金属部品(素材・機械加工) 51 50 48 54 51
組立委託部品・製品 17 17 18 18 19
規格部品(軸受・オイルシール等) 12 9 12 14 16
電子電装部品 8 9 9 8 7
その他部品 12 15 13 6 7
合計 100 100 100 100 100

当社グループ調達金額の比率(2022年度)

当社グループ調達金額の比率(2022年度)

当社グループのサプライチェーン上で人権・環境リスクが想定される地域

当社グループは、サプライチェーン内で潜在的な人権と環境のリスクを抱える地域を明らかにし、それらのリスクの分布を次のように識別しました。

当社グループのサプライチェーン上で人権・環境リスクが想定される地域

方針

ナブテスコグループCSR調達方針

当社グループは、サプライチェーンにおいてサステナブルで責任ある調達の推進に取り組んでいます。近年、複雑化・多様化するサプライチェーンリスクの発現を防止する必要性を鑑み、2020年12月「ナブテスコグループCSR調達方針」(以下CSR調達方針)を改定し、サプライチェーンマネジメントを一層強化することを宣言しました。

本方針の策定にあたっては、RBA(Responsible Business Alliance)、ISO20400、ISO26000、国連グローバル・コンパクトなど国際的なガイドラインを参照するとともに、「ナブテスコグループ倫理規範」の内容を組み入れています。

図

サプライヤーの皆さまへ

ナブテスコグループは「経営の透明性確保」と「安全・安心・快適の提供」に取り組み、企業としての社会的な責任を果たすことで、環境・社会の諸課題解決に貢献するとともに、持続的な企業価値向上を追求することを「ナブテスコグループCSR調達方針」に掲げ、その実践に努めてまいりました。

近年、自らの事業活動が環境や社会全体に与える影響について企業が責任を持つと同時に、これらに配慮したサプライヤーと共にサプライチェーン全体を通じて企業の社会的責任を果たす「CSR調達」がますます求められています。

このような状況のもと、サプライチェーンにおける社会的要請の変化や高まりに応えるべく「ナブテスコグループCSR調達方針」を改定いたしました。今回の改定では、国際的ガイドライン等を参考に「倫理」「人権・労働慣行」「労働安全」「品質」「環境」「社会との調和」「マネジメント」について定めております。

ナブテスコグループの重要なビジネスパートナーであるサプライヤーの皆さまにも、当方針の趣旨をご理解いただき社内で実践いただくとともに、皆さまのお取引先さまへ理解・実践をご要請いただきますようお願い申し上げます。

CSRサプライチェーンマネジメントを発展させていくことが、サプライヤーの皆さまとナブテスコグループの共存共栄につながると考えます。ナブテスコグループと一体となったCSR調達の推進に向けて、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年12月

ナブテスコ株式会社
執行役員 ものづくり革新推進室長

中川 康仁

ナブテスコグループCSR調達方針

1.倫理

  1. (1)企業倫理・法令遵守
    各国・地域の法令や社内規程を遵守するとともに、社会倫理・社会規範に基づいて誠実に行動すること。詐欺・強要・マネーロンダリングなどの不正行為を行ってはならない。
    また、これらの未然防止および業務遂行の適正性を担保するため、不正行為に関する社内規程およびガイドラインを定めること。
  2. (2)不当な利益
    公務員、顧客、サプライヤー、その他のビジネスパートナーと、賄賂またはそれに類する不当な利益の提供・授受は、直接と間接とを問わずいかなる方法であっても行ってはならない。
  3. (3)情報開示
    株主・投資家をはじめとするさまざまなステークホルダーに対して、財務・経営・事業活動に関する重要な情報を適時、適切かつ公平に開示し説明責任を果たすこと。
  4. (4)知的財産権
    第三者の知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、営業秘密を含む)を尊重し、その侵害行為は行わないこと。
    また、知的財産権は、重要な会社資産であることを認識し社内規程に従い適切に管理するとともに、その保護に努め有効に活用すること。
  5. (5)公正かつ自由な競争
    各国・地域における競争法、独占禁止法および関連する自社の規程を遵守し、自由で公正な競争に基づく取引を行うこと。
  6. (6)内部通報制度
    企業倫理、労働安全、環境、人権、その他法令・社内規程に違反する行為に関して、労働者が報告・相談・通報する制度(内部通報制度)を整備すること。
    また、相談・報告を行った役員・社員に対しては、相談・報告を行ったことを理由として不利益な取扱いを一切行わないこと。
  7. (7)責任ある鉱物調達
    紛争地域や高リスク地域で産出される紛争鉱物を購⼊または使用してはならない。
    また当社グループが実施する紛争鉱物調査に協力すること。
    • 高リスク地域:汚職などの不正行為、人権侵害、環境破壊に関わる組織および武装集団の活動拠点となる各国・地域。
  8. (8)情報セキュリティ
    サプライヤー・顧客・消費者・従業員の個人情報の重要性を認識し、関係法令および社内規程に従い個人情報を適切に扱うこと。
    自社および第三者の秘密情報を社内規程に従い厳重に管理するとともに、これらを社外に漏えいしまたは正当な業務目的以外に使用しないこと。
  9. (9)適切な輸出入
    各国・地域における関係法令および社内規程を遵守し輸出入取引を行うこと。また、輸出入取引を行うにあたっては、関係法令に従い必要に応じて当局への許可申請、届出、報告などの適切な手続きを行うこと。

2.人権・労働慣行

  1. (1)強制労働の禁止
    強制労働、拘束労働、囚人労働、奴隷や人身売買による労働、債務による労働などを禁止し、これからも利用しないこと。すべての労働は自発的でなければならず、労働者が離職または雇用契約を終了する自由を保証すること。
    また法的に義務付けられている場合を除き、労働者の身分証明書・パスポート・労働許可書・移民申請書などの保持・破壊・隠ぺい・没収および労働者本人による使用の拒否を行ってはならない。
  2. (2)児童※1労働の禁止
    事業を行う国・地域の法定就業最低年齢未満の労働者の労働・雇用を禁止しこれらを利用しないこと。
    またいかなる場合も、18歳未満の若年※2労働者を夜間業務・時間外労働や、労働者の健康・安全を脅かす業務に従事させてはならない。
    • ※1児童:法令で定められた就業最低年齢未満の者
    • ※2若年:就業最低年齢以上かつ24歳未満の者
  3. (3)労働時間・休日
    時間外労働の削減に努め、事業を行う国・地域の法令で定められた労働時間を超えた労働をさせてはならない。
    また事業を行う国・地域の法令で定められた休日・年次休暇を与えること。
  4. (4)賃金・福利厚生
    最低賃金や時間外賃金など、事業を行う国・地域で定められた給付等に関する法令を遵守し、生活賃金の支払いに努めるとともに法令で義務付けられた福利厚生を提供すること。
  5. (5)非人道的な扱いの禁止
    精神的・身体的・性的な虐待、体罰、ハラスメントなどの非人道的な扱いを禁止すること。
  6. (6)差別の禁止
    雇用・研修・昇進などの人材の取り扱いにおいて機会の均等と公正さを確保すること。人種・信条・性別・年齢・社会的身分・国籍・民族・宗教・障がい・性的指向などによる差別を禁止すること。
  7. (7)結社の自由・団体交渉権
    自由に労働組合を結成・参加する権利、団体交渉・平和的集会へ参加する権利を尊重すること。
    また労働者が差別、報復、脅迫、ハラスメント等を懸念することなく労働条件および経営慣行について経営陣と対話できる機会・環境を整備すること。

3.労働安全

  1. (1)安全衛生・健康
    労働者の危険要因(化学物質、電気およびその他のエネルギー源、火、車両、落下等)を管理するため、適切な設計、工学的および管理による統制、予防保全を行うとともに、危険性の高い業務に従事する労働者に個人保護具や教材を提供すること。
  2. (2)労働災害
    労働災害による傷害・疾病の防止、管理、記録、監視、報告のため以下の手順およびシステムを整備すること。
    • 労働者による報告
    • 災害・疾病の分類・記録
    • 治療の提供
    • 災害・疾病の調査
    • 是正措置の実施
    • 労働者の職場復帰
  3. (3)身体負荷の大きい作業
    身体的負荷の大きい作業に起因する従業員の傷害・疾病を防止するため、手作業による原材料の取り扱いや重量物の持ち上げ、極端に反復の多い力仕事、長時間の立ち作業等を特定し、定期的な休憩、作業補助用具の使用、作業の分割等の対策を実施すること。
  4. (4)機械の安全対策
    労働者の怪我を防止するため機械の危険性を評価し、法定点検、保護措置(危険表示、保護具装着、インターロック、障壁の設置)等の対策を実施すること。
  5. (5)衛生設備、食事、および住居
    労働者に清潔なトイレ施設、安全な飲料水、衛生的な食堂、安全で清潔な寮、医療サービスへのアクセスなどを提供すること。
  6. (6)安全衛生に関する労働者とのコミュニケーション
    労働者の母国語または理解できる言語で職場の安全衛生に関するトレーニング・研修を提供するとともに、情報を施設内に掲示すること。

4.品質

  1. (1)製品の安全・安心・快適
    顧客ニーズにあった付加価値の高い製品・サービスを提供するため「安全」を最優先とし、「安心」や「快適」にも配慮した事業活動プロセスを構築すること。
    また、各国・地域の関係法令や規格で定められた安全基準および要求事項を遵守し、製品の安全性を確保するとともに、製品・サービスに関する正確な情報(仕様、品質、取扱方法、含有物質など)を提供すること。
  2. (2)市場競争力のある品質の確保
    市場競争力のある品質・価格・納期を確保した製品・サービスを安定供給できる体制を確立するとともに、サプライヤーと相互に協力しその品質・価格・納期を確保すること。
    また、顧客のニーズを捉え、市場競争力のある製品・サービスを提供するため継続的な技術開発力の向上に努めること。

5.環境

  1. (1)汚染防止
    大気・水・土壌などへの環境汚染を防止するため汚染物質や汚染源を特定し、汚染防止設備の追加や生産プロセスの見直しを含む適切な管理を実施すること。
  2. (2)資源使用量削減
    鉱物、原材料、化石燃料などの資源を有効活用し使用量を削減すること。
  3. (3)有害物質の管理
    人体や環境に有害な影響を与える化学物質等を特定し、有害物質の移動、保存、使用、リサイクル、再利用、廃棄を適切に管理すること。
  4. (4)廃棄物
    廃棄物を適正な方法で処理・管理し、削減・リサイクルに取り組むこと。
  5. (5)大気への排出
    揮発性の有機化合物、エアロゾル、腐食性物質、微粒子、オゾン層破壊物質、業務で発生する燃焼の副産物を排出する際には、事業を展開する国・地域の法令を遵守すること。
  6. (6)材料の制限
    製品および製造過程における特定物質の使用の禁止・制限やリサイクル・廃棄の表示に関する法令を遵守すること。
  7. (7)
    水源・取水・排水の水量および水質を適切に管理し、水の効率的な使用と節約(節減)に努めること。
  8. (8)エネルギーおよび温室効果ガス
    エネルギー消費量・温室効果ガス排出量を記録し、省エネルギーや温室効果ガス排出量削減に取り組むこと。
  9. (9)生物多様性
    生物多様性・生態系に配慮した事業活動を行い、生物多様性の保全に取り組むこと。
  10. (10)環境マネジメントシステム
    環境マネジメントシステムを構築し継続的に改善すること。
  11. (11)環境配慮型製品
    製品の企画・開発・設計にあたってはそのライフサイクルにおける環境への影響を把握し、エネルギー効率、省資源、リサイクル性の向上に努めること。

6.社会との調和

  1. (1)文化や慣習の尊重
    事業活動を展開する地域・社会の文化や慣習を尊重すること。
  2. (2)社会貢献
    地域・社会と対話し、社会貢献活動、ボランティア活動、教育、地域雇用などに取り組むこと。

7.マネジメント

  1. (1)苦情処理
    自社と取引のある関係者からの要望・苦情を受け付け、迅速かつ的確に報告・対応する体制を構築すること。
  2. (2)リスクの評価・管理
    環境・労働安全衛生、法令遵守などの事業活動に関連するリスクを評価し対策を講じること。
  3. (3)BCP(事業継続力強化)
    大規模災害や感染症拡大などの危機的状況下でも早期に事業を再開し、顧客への供給責任を果たすため実効性の高いBCPを実行すること。
    切迫する危機への備えとして教育訓練を実施し組織の危機管理能力を高めること。(実効性評価の外部認証の取得維持にも努めること)
    • 当社グループでは自社のBCPにとどまらず、サプライヤーへのBCP支援を展開、サプライチェーンの強靭化を目指して取り組んでいます。
  4. (4)サプライチェーン全体への浸透
    貴社のサプライヤーに対して本CSR調達方針の内容を伝達し、同様の取り組みを行うよう促進・要請すること。

以上

体制

CSR調達推進体制

当社グループでは、QCD(品質・コスト・納期遵守)、技術開発力をはじめ持続可能性の観点を含めた総合的な調達力の強化に向け、ものづくりイノベーションおよびサプライヤーとの協働を追求しています。中長期的な成長を実現するためには、持続的なサプライチェーンの確保が不可欠であり、そのためには公正な調達活動によるサプライヤーとの協働が必須です。

また、CSR調達には、環境対応や人権対応など、従来の調達部門では扱わなかった専門的な知識やノウハウが必要とされます。そこで、ものづくり革新推進室調達統括部が推進の軸となり、本社関連部門との連携をはかりながら、各カンパニー・グループ会社のCSR調達を推進しています。さらに、CSR調達に係る方針・施策については、各カンパニー・グループ会社の調達部門を横断する「ナブテスコグループ調達会議」にて協議・決議するとともに、CEO直結の委員会であるCSR委員会の承認を得ています。

このように全社横断的な体制により、サプライヤーのご協力を得ながら、サプライチェーン全体での社会的責任の遂行に取り組んでいます。

ナブテスコグループのCSR調達推進体制図

取り組み

ナブテスコグループ「取引基本契約書」

新規サプライヤーとの取引前提となる「取引基本契約書」は、2020年4月1日施行の民法改正に合わせ改定を行いました。CSR調達方針を遵守するとともに談合、贈賄の禁止など腐敗防止を含むコンプライアンスの徹底、環境、労働安全衛生への配慮や反社会的勢力の排除なども最重要項目としてその遵守を謳っています。

~取引基本契約書(抜粋)~

  • (例)
  • 《第9条》安全衛生の確保、労働条件の適正化(例えば強制労働、児童労働、外国人労働者の不法就労の禁止)
  • 《第30条》公害防止、環境管理、特定有害物質管理義務
  • 《第31条》災害防止義務
  • 《第33条》事業継続計画の策定
  • 《第34条》 談合、贈賄の禁止
  • 《第49条》 反社会的勢力の排除

既存サプライヤーに対しても取引基本契約書の遵守に加え、SAQを通して環境、労働安全衛生への配慮を求めています。CSR調達方針の浸透・現地説明会の開催・SAQ等を通じて新規・既存サプライヤーの社会規範に沿った行動を促進するべく、適切に対応しています。

サプライヤーに対するナブテスコグループCSR調達方針の浸透活動

サプライヤーへの方針の周知

当社グループは、全サプライヤーに方針の内容をご理解いただくことを目指し、2021年6月には改定内容を周知するとともに、「ナブテスコグループCSR調達方針に関する同意書」をご提出いただきました。引き続き、多言語(日英中泰)に翻訳した本方針に基づきPDCAサイクルを回し、サプライヤーと継続的にコミュニケーションを図ることでCSR調達を推進します。また、サプライヤーへの購買活動と本方針の整合性を継続的に確認することで、日々変化する社会的要請やESG課題に対する迅速な対応に努めます。

なお、万が一、既存または新規に取引を開始するサプライヤーが本方針に著しく違反する場合には取引関係の見直しを図ります。

説明会

CSR調達方針浸透活動の一つとして、2014年度下期よりサプライヤー向け説明会を継続開催しています。本説明会では、サプライチェーン全体で社会的責任を果たすことの重要性を改めて説明するとともに、当該年度特に力を入れて取り組みたい当社CSR活動への協力要請も行っております。2022年度はオンライン中心に4事業所にて約360社にご参加いただきました。

サプライヤー説明会

サプライヤー説明会

サプライヤー説明会出席社数

2019年(実績) 2020年(実績) 2021年(実績) 2022年(実績)
約600社(対面方式) 約180社(対面方式) 約350社(オンライン中心) 約360社(オンライン中心)

教育プログラム

サプライヤーへの研修

サプライヤー向けに、CSR全体やESGに係る各テーマについてe-learningを中心とした教育プログラムを展開しています。2022年度は、CSR全体に関する教育を1次サプライヤー約600社、紛争鉱物に関する教育を主要サプライヤー100社が受講しました。本プログラム内では、サプライチェーンリスクが実際に発現し事業継続に影響が出た例や優良事例なども紹介しており、サプライチェーンで一体となってCSR調達を推進する必要性に対し、サプライヤーの理解が深まるよう努めています。

今後も説明会や教育プログラムを通して、既存のサプライヤーはもちろん、新規に取引を開始するサプライヤーにも、確実にCSR調達方針を理解・実践頂けるよう取り組んでまいります。

当社グループ調達担当者への研修

当社グループは、さらなる社内およびサプライヤーへのCSR調達方針浸透を目的として、サプライヤーと直接かかわる機会の多い調達担当者へのCSR調達教育・研修を実施しています。2022年度はCSR調達全般や紛争鉱物についてのe-learningを配信し、国内のナブテスコ調達部門に所属する全ての担当者・管理職が受講を完了しました。

サプライヤーに対するCSR調達方針浸透度と実践状況の確認

SAQ(CSRアンケート)の実施

当社グループでは、CSR調達の実効性を確認するために、主要サプライヤーを含む国内外の1次サプライヤー向けのSAQを毎年実施しています。2020年12月のCSR調達方針改定に伴い、SAQの内容を刷新しました。当社が加盟するグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を基に、CSR調達方針に照らして内容を追加しています。また、共通SAQに基づくことでサプライヤーの回答負担軽減に努めています。

2022年度のSAQ展開目標は、1次サプライヤー900社、うち主要サプライヤー100社としました。実施の結果、1次サプライヤー1,137社(2021年度847社)、うち主要サプライヤー100社(2021年度100社)に展開し、目標を達成しました。回答率については、1次サプライヤーが77%(2021年度67%)、主要サプライヤーが95%(2021年度76%)となりました。
なお、2022年度SAQの結果による特にESGリスクが高いサプライヤーは、実施企業全体のうち6社でした。サプライチェーンにおける労働・環境関連の重大な法令違反は報告されていません。

SAQ実施後には、サプライヤー個別に結果をフィードバックしています。自社の回答結果と合わせ、項目ごとに全回答企業の平均得点率を開示し、サプライヤーが自社のCSR活動のレベルや改善点を把握して改善に繋げられるようにしています。

当社では、SAQにおいて9項目の合計スコアが50%以下、かつ、調達金額の大きいサプライヤーをESGリスクが高いサプライヤーと定義しています。

サプライヤーと協働したESGリスク低減の流れ

ステップ1 年1回実施のSAQを通じてサプライチェーンにおける人権・環境・労働など9項目のリスクを調査
ステップ2 調査結果を基に、低スコアのサプライヤーを抽出。(調達金額上位のサプライヤーがサプライチェーンに与える影響力が大きいことから、上位サプライヤーを重点的に抽出)
ステップ3 人権・環境に関する項目を重点的に監査。(人権デュー・デリジェンス・環境デュー・デリジェンスへの対応)
ステップ4 是正が必要と判断した項目については、監査終了後に是正措置を計画し、計画の実行を継続的にフォロー。
2022年度SAQ回答結果

一次サプライヤー

グラフ

主要サプライヤー

グラフ

アセスメント結果に基づくサプライヤーのCSR活動支援

CSR監査

当社では、サプライヤーのCSR調達方針への理解度や実践状況について、調達統括部による面談および監査を通じて確認しています。本面談・監査は、主要サプライヤーのうち、SAQの人権および環境スコアが低く、また、GHG(温室効果ガス)排出量目標の設定がされていない企業を優先して行っています。面談・監査内容は随時更新しており、CSR調達方針改定時には人権及び環境デュー・デリジェンスの要素、2022年度からは当社独自に作成した監査チェックシートを導入の上、労働・安全衛生の要素をそれぞれ追加しております。

2022年度CSR面談・監査の実施目標は主要サプライヤー25社としました。実施の結果、主要サプライヤー26社へCSR面談・監査を行い、目標を達成しました。なお、2022年度SAQに基づく特にESGリスクが高いサプライヤー6社のうち、面談・監査および是正措置の計画と実行支援をしたサプライヤーは4社です。

さらに、2022年度からはCSR面談・監査社数を中期目標KPIとして設定しています。今後も一層、面談・監査を通じて、サプライヤーESGリスクの抽出、是正措置計画や計画実行に向けた支援を行ってまいります。

サプライヤーとの面談および監査社数

  2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
社数(計画) - - 25社 25社 35社
上記のうち、Tier2以降の社数(計画) - - 5社 5社 5社
社数(実績) 10社 22社 26社 - -
上記のうち、Tier2以降の社数(実績) 0社 2社 0社 - -

サプライヤーとのGHG(温室効果ガス)削減に関する取り組み

GHG排出量モニタリング及び目標設定については、調達統括部と環境安全部が共同でサプライヤーに対する支援活動を行っております。本活動はSBT Scope3に該当し、自社だけではなくサプライチェーン全体でのGHG排出抑制につながります。2025年までに調達金額上位70%を占めるサプライヤー(約100社)で実施いただくべく進めております。

調達金額上位100社におけるGHG排出量モニタリング及び目標設定を実施済みのサプライヤー

2020年(実績) 2021年(実績) 2022年(実績) 2023年(計画) 2024年(計画)
66.3% 70% 72% 90% 100%

計画の2025年度より1年前倒しし、2024年度に計画の完了を目指しています。

ナブテスコグループ 責任ある鉱物調達宣言

当社グループは、コンゴ民主共和国とその隣接国(DRC諸国)の紛争地域及び高リスク地域における人権侵害に加担するサプライチェーンを経由して供給される錫、タンタル、タングステン、⾦、コバルト、マイカなどの紛争鉱物※1の使用を防止するため、サプライヤーと協力し紛争鉱物の使用回避に努め、責任ある鉱物調達を推進することを宣言します。

2020年には、鉱物調達において国際的な平和や安全を維持する必要性、また、持続的なサプライチェーン確保に向けたリスクマネジメントの観点からも「ナブテスコグループCSR調達方針」に責任ある鉱物調達の項目を設けました。サプライヤーにはCSR調達方針に対しての同意書をご提出頂いているほか、2022年には売上高の約7割を占める主要サプライヤー100社に対して、世界で紛争鉱物に関する取り組みを主導する団体であるResponsible Minerals Initiative(RMI)による統一フォーマットのCMRT※2およびEMRT※3を利用した調査を実施し、鉱物調達の安全性を調査しました。

2022年度紛争鉱物調査の結果、RMIによる「責任ある鉱物保証プロセス(RMAP Responsible Minerals Assurance Process)」の監査に合格した精錬所から調達しているサプライヤーは28社でした。また、精錬業者の特定が出来ていないサプライヤーは14社です。お客さまからの調査要請に対してサプライヤーのご協力のもと鉱物の原産国調査を進めておりますが、万一不正行為につながるリスクを含む鉱物の使用が判明した場合は、関係するサプライヤーと協議し速やかに不使用化に向けて取り組みます。

  • 1 紛争鉱物とは、紛争地域において、武装勢⼒の資⾦源となるリスクや、⼈権侵害、環境破壊や汚職等のリスクに関連する、金、タンタル、スズ、タングステン、コバルト、マイカ等の鉱物のことです。中でも、金、タンタル、スズ、タングステンは、2010年度に米国で成立した「金融規制改革法」(ドッド・フランク法)にて紛争鉱物に指定されており、これら鉱物を使用している企業は、SEC(米国証券取引委員会)への報告義務を課されています。
  • 2 CMRT:Conflict Minerals Reporting Template
  • 3 EMRT:Extended Minerals Reporting Template

取引先ホットライン

当社グループは、サプライヤーとの取引における透明性及び公平性を確保し、持続的発展を図ることを目的として「取引先ホットライン」 を設置しております。

当社グループの組織または個人による不正行為、またはそのおそれのある行為などについてお気付きになられた場合にお知らせいただくことで、問題の未然防止または是正を図ってまいります。

サプライヤーとのパートナーシップ

当社グループでは、サプライヤーの生産性向上およびESGパフォーマンス向上に貢献するための取り組みを積極的に行っています。
当社向け製品の製造に当たって、作業標準の遵守、ヒューマンファクターの根絶、不具合品排除といった品質管理上の改善点を指導し、工場運営全体で5S活動の定着を支援しております。また、VE(バリューエンジニアリング)手法を用いて、製品や日常業務の機能分析を通じて生産性向上を図る研修も行っています。

パートナーシップ構築宣言ロゴ

加えて、サプライヤーのGHG排出量削減に対しても、ものづくり革新推進室調達統括部が中心となって支援しています。環境安全部や生産技術部と協力し、SAQやCSR監査の結果を活用して、GHG排出量目標の設定および予実管理のサポートを行っています。

また、当社は2020年6月に「パートナーシップ構築宣言」を行いました。「パートナーシップ構築宣言」は、経済界・労働界の代表および関係閣僚をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」により導入され、内閣府・中小企業庁などが推進する枠組み・仕組みです。ナブテスコグループと取引を行うサプライヤーに対して共存共栄の方針を示すことで、サプライヤーとの持続可能な成長を目指します。

国連グローバル・コンパクト サプライチェーン分科会での活動

当社グループは2014年4月に国連グローバル・コンパクトの趣旨に賛同・署名し、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の活動に積極的に参加しています。サプライチェーン分科会においては異業種を含めたさまざまな企業と連携し、グローバルなCSR調達(環境・労働・人権テーマなどを含む)における規範や基準作り、課題解決に向けた活動に取り組んでいます。2017年度にはサプライチェーン分科会のチームリーダー企業に任命され、業界横断的に活用可能なSAQ(CSR調達セルフ・アセスメント・ツール)の完成に貢献し、2019年度はSAQ中国語版の作成にも貢献しました。2020年度には、GCNJが策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を基本形としたアンケートを当社グループサプライヤーに対して実施しました。引き続き、外部イニシアチブと連携し、SAQのさらなるブラッシュアップを図るとともに、その普及に取り組んでいきます。