人財育成

考え方・方針

最適な人財ポートフォリオの構築に向けた人財育成

長期ビジョンで掲げる「イノベーションリーダー」に向けて、最適なポートフォリオに必要な人財を量・質ともに充足する方策として、採用による外部人財の獲得に加えて、育成・リスキリングを通じた社内人財強化による内部調達も重視しており、教育・研修制度の改革を進めています。長期ビジョンの実現に向けて、人財ポートフォリオの重点強化項目を「デジタル」、「女性」、「グローバル」、「シニア」と設定し、関連する研修や教育機会の強化・充実を図っています。

取り組み

人財育成教育体系

ナブテスコは、自らが学び実践できる教育の場を提供しています。近年は、従来型の階層別・テーマ別研修に加え、オンライン研修・オンデマンド研修を積極的に取り入れ、自らが課題とするスキルを選択形式で学習できるよう研修メニューの充実を図るとともに、各個人が自身の職務や志向・適性を踏まえて自律的に学習できる教育体系を整備し、自律的に学ぶ場、組織的に学ぶ場の両面を提供することで、学びの風土を醸成しています。

教育体系図(抜粋)(2023年7月現在)

教育体系図(抜粋)

受講者数(2022年度 人事部主催研修 2022年1月~12月)(単位:人/%)

新入社員研修 54/100 海外赴任前研修 17/100
初級問題解決研修 52/100 海外派遣研修 32/100
上級問題解決研修 29/100 語学留学(海外トレーニー) コロナ禍により延期
新任管理職研修 22/100 英語ライティング研修 10/100
新任部長職研修 12/100 英語プレゼンテーション研修 11/100
中途採用者研修 55/100 国際ミーティングスキル研修 4/100
ビジネス研修 67/100 新任OJT研修 37/100
2年目レポート発表(本社採用者) 23/100 ネクストキャリア研修(50歳社員対象) 82/100
入社5年目キャリア研修(入社5年目社員&その上司対象) 119/100 Excel関連研修 33/100
マネジメント基礎研修 18/100 DX研修 241/100
国内外ビジネススクール派遣 10/100 セカンドライフセミナー 47/92
マネジメント・アドバンス・プログラム 10/100 女性特化研修 3/100

年間研修受講実績(人事部主催・共催研修)

延べ受講時間 一人あたり受講時間
37,906時間 15.86時間

以下の理由により、例年に比べて受講時間が減少しています。

  • 新型コロナウイルスによる研修の延期
  • より効率的な能力開発型研修にするため、全員参加型研修から選択型研修へと研修制度転換を実施

人的資本投資利益率(単位:%)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
人的資本投資利益率 9.1 9.3 9.2 8.6
  • 人的資本投資利益率:[総売上-(総営業費用ー総従業員関連費用※給与+諸手当)/総従業員関連費用※給与+諸手当]

キャリア支援

社員のキャリア開発支援のため、入社5年目の社員、およびシニア層手前の社員を対象にキャリア開発研修を行っています。さらに2022年にキャリア相談窓口を設置し、新入社員からシニア層にいたるまで仕事におけるキャリア構築支援や、ライフプランに合わせて女性や外国籍社員特有の悩み事にも対応するなど幅広く個々の相談を受け付けています。

また、社員のキャリア開発、組織活性化の推進、および社内人財の有効活用を目的とし、2018年、社内公募制度を導入しました。社内公募制度とは、求人情報(グループ会社を含む)に適う人財を当社の社員から募集する制度です。2023年には応募要件を緩和し、更なるジョブマッチングの最適化と社内カンパニー間の人財交流を促進させることで、個人のキャリア構築支援と組織の強化を同時に図ることを目指します。

人財流動化施策「社内公募制度」のイメージ

人財流動化施策「社内公募制度」のイメージ

社内公募実績(単位:人)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
募集件数 46 36 40 69
応募者 18 8 13 11
合格者 4 3 7 0

デジタル人財の育成

各事業においてイノベーションを実現する上で、DXによる新たなビジネスモデルの創出や、業務プロセス効率化を推進する「DX人財」の確保が急務となっています。当社では、アセスメントにより各自のDXレベルを測定し、レベルに応じた体系的なDX関連研修を実施し、DX人財の発掘、育成を行っています。DX研修は、基本的な概念や、プロダクトマネジメント、ソフトエンジニアリング、イノベーティブスキル、デジタルマーケティング、UX、AI・データサイエンス等のスキルについて基礎的な知識習得を行います。具体的にはデジタルスキル、イノベーティブスキルの向上を通じた新規ビジネスアイディアの創出機会の増加、当社全体のITリテラシーの向上、業務プロセスの自動化や効率化手法の職場への還元を実現し、新たな価値の創造に取り組むことができます。また、DX関連テーマを中心とした社員の自律的な能力開発、リスキリングの場としてオンデマンド研修を充実させ、全社のITリテラシー底上げを図っています。

2022年に実施したDX研修の受講者のうち、DX推進者として上司推薦を受けた126名の研修前と研修後のアセスメントスコアを比較すると、デジタルスキルは67%(85名)、イノベーティブスキルは58%(73名)にスキル向上が認められました。

女性活躍の推進

多様な人財が最大限活躍できる組織の実現に向けた重要課題として、女性活躍の推進に取り組んでいます。従来の平等・均質的な取り組みから公平性をより志向した組織カルチャーの構築、および均等な成長機会の提供が不可欠だと考えています。女性社員を取り巻くアンコンシャス・バイアスの解消に向けた研修などを通して、風土改革に取り組んでいます。

また、2022年度には、次世代の女性リーダー層の拡充に向け、管理職候補の中堅社員およびその上司に対し「女性管理職候補者研修」を開催するなど、女性のキャリア形成の支援を強化しています。

グローバル人財の育成

今後拡大を見込むグローバルな事業展開をリードできる人財を早期に選抜・育成し確保するため、若手社員を対象とした短期海外派遣研修制度を導入し、早い段階から国際ビジネスの実体験の場を提供しています。また、中堅社員を対象とした海外トレーニー制度(留学と実務体験の組み合わせ)を設けており、グローバル人財として当社を牽引するリーダー層の形成を図っています。

さらに、海外グループ会社の人財育成にも積極的に取り組んでいます。現地人財を積極的に採用し、各地域で採用する社員の技能等の向上を目的に様々な教育を実践しています。

海外派遣研修

海外NPOでの研修に参加

自律的にグローバルで活躍できる人財を育成するために、海外派遣研修を毎年実施しています。本研修は、海外企業や海外NPOと協働することにより、語学を駆使してグローバルな視点で考え、ミッションを達成・意思決定できる人財を育成することを目的としています。2021年度は、フィリピンの複数のNPOで実際に発生している課題に対し当社社員がそれぞれプロジェクトメンバーとして関わり、多国籍チームで様々な手法で解決策を考え、実行するという内容で研修を実施しました。一つの例として、フィリピンの貧困層の子供への教育支援活動を行うNPO Silid Aralanに、当社メンバーがプロジェクトメンバーとして参画し、課題解決に取り組みました。

異文化対応力を身につけるだけでなく、NPOを通じた社会貢献活動を通して、多国籍の仲間の中で自律的、主体的、能動的に行動する力をつけると同時に、世界、社会への広い視野も育てています。

受講生の声

2021年6月(3週間)、海外派遣研修に参加しました。フィリピンの教育系NPOのメンバーと共に、オンライン授業用デバイスの購入資金調達のためクラウドファンディングの立ち上げや、NPOをより認知してもらうためのPR動画の草案作成、関係者へのプレゼン等を行いました。研修を受講し、異文化圏の相手であっても萎縮せず自分の考えを確実に伝え、同時に相手の考えや意図も注意深く聞き、互いにオープンな関係性で議論を進めることが協働のコツであると学びました。研修後日々の業務の中でも心掛けるようにしています。

航空宇宙カンパニー 技術部 第1技術課 荒上 祐一

航空宇宙カンパニー
技術部 第1技術課
荒上 祐一

NPOからの声

ナブテスコのメンバーは学習者をエンパワーし教育するという当団体のミッションに大きく貢献してくれました。具体的には①オンラインで寄付をしやすくするためのwebページの改修②クラウドファンディングの実施を行いました。率直な意見をシェアしながら素晴らしい成果をつくってくれ、コロナ禍で学習できない生徒が、オンラインでも学習できるようにするための携帯電話やタブレットを購入する寄付金を多く得ることができ、多数の携帯電話・タブレットを購入できました。プログラムの後もより多くの人に学習のための携帯電話を届けられるようにするため、広告会社等とパートナーを組んで取り組んでいます。

Silid Aralan Inc.

Silid Aralan Inc.

国際ミーティングスキル研修

海外における事業展開の一層の拡大を踏まえ、グローバルに活躍できる社員を計画的に育成することが求められています。海外赴任予定者登録制度により、赴任前にそれぞれの海外赴任予定者の赴任先での職位や職種に必要な知識を担当部署が組織的に教育するとともに、帰任後は海外赴任中の経験をレポートとして残し、海外赴任に関する情報として体系化し共有することで、当社グループ全体のグローバル対応力強化につなげています。

グローバルビジネスにおけるコミュニケーションに必要な英語⼒向上を図るため、英会話集中合宿研修の他、英文ライティング研修、英語プレゼンテーション研修や国際ミーティングスキル研修を定期的に開催しています。また、2012年度からは中堅社員を対象とした海外トレーニー制度(留学と実務体験の組み合わせ)、2017年からは若手社員を対象とした短期海外派遣研修を導入し、早い段階から国際ビジネスの実体験の場つくりを進めています。

国際ミーティングスキル研修

国際ミーティングスキル研修

シニア人財の活躍推進

人的資本の最適化に向けて、すべての社員が活躍し続ける組織を目指す上で、当社の年齢分布におけるボリューム層であるシニア人財(50歳以上の社員)に対し、年齢にかかわらず一人ひとりの活躍を最大限引き出す環境づくりに注力しています。2021年より、シニア人財を対象に「ネクスト キャリア研修」を開催し、知識・スキルの硬直化を防ぎ、豊富な経験を活かしつつ、新たな業務に取り組むためのリスキリングの啓蒙、機会提供を行っています。

若手社員の基礎力向上(早期戦力化)

新卒採用者は入社2年間を基礎能力向上期間と位置付けて、社員の成長段階を考慮した研修プログラムを職種毎に設計しています。

また、早期戦力化に向けては職場での実務経験が非常に重要であると考え、OJT制度を導入しています。新入社員一人ひとりにOJT担当者をつけて、きめ細やかな指導ができる体制を整えるとともに、OJT担当者への研修を行い、共通様式である育成計画シートで育成内容と進捗管理を可視化し、バラツキのない、質の高い育成環境を備えています。

尚、基礎能力習得期間が終了する3年目には、学卒系社員全員を約1カ月間の海外研修(インターン等)に派遣し、異文化体験を通じて自律した人財の育成を進めています。

2年目レポート発表会

2年目レポート発表会

経営幹部候補人財の育成

ナブテスコグループでは、将来の幹部候補としての育成、合理的な組織運営に資するスキルの強化、自己理解を目的として選抜型の経営人財育成研修(Management Advanced Program(MAP))を実施しています。MAPの受講により、経営者視点でのリーダーシップスキルの向上を図ります。経営戦略に関する知識を学び、テクノベート戦略を習得することで新たなアイデアやビジネスモデルを生み出し、組織の競争力を高めることが期待できます。

また、この研修では、他社の管理職との交流があり、経験やアイデアを共有し、新たな人脈を構築することができます。MAP研修導入2年間で計20名が受講しており、全部長職96名中8名がMAPプログラム受講者になります。また海外のグループ会社に経営者として1名が着任しています。

海外グループ企業の人財育成

当社グループでは、海外グループ企業の人財育成に積極的に取り組んでいます。現地人財を積極的に採用し、各地域で採用する社員の技能等の向上を目的に様々な教育を実践しています。中国では、各拠点の幹部候補者向けにビジネスマネジメント研修を実施し現地スタッフのマネジメント登用を促進しており、海外グループ企業では現地人財の中から社長を登用しています。この他、鉄道車両用機器事業、油圧機器事業、商用車用機器事業、自動ドア事業など幅広い事業において、日本国内の工場に海外グループ企業の人財を一定期間派遣し、OJT方式で技能向上を図る研修プログラムを実践しています。

ナブテスコ ウェイに基づく当社グループの企業文化を理解してもらうとともに、専門技術を学ぶ機会を提供することで、出身国の経済発展に寄与する人財育成を図っています。今後も、こうした取り組みを通じて、海外でのオペレーション基盤の強化を図るとともに、操業地域の経済・社会の発展に貢献してまいります。

適正な人事評価

当社では、全社員を対象に適正な人事評価を実施し、賞与・昇格・昇給に反映しています。評価は期首に設定する目標に対する達成度を期末に評価するもので、評価項目は業績、能力、意欲などで構成されています。

一般職の育成評価制度には、業績評価の他に能力評価があり、コンプライアンス/行動規範の遵守も総合的に組み込んでいます。管理職の人事評価制度には、成果評価の他に行動評価があり、コンプライアンスの中に行動規範の遵守があります。さらに管理職は、コンプライアンスに関する組織内の啓発や情報発信についての評価も組み込まれています。評価の透明性と納得性の確保のために、年に2回以上定期的に、上司と部下で面談の機会を設けています。